俺の「好き」は、キミ限定。
「美織のドジな話で盛り上がっただけだってば」
「どのドジな話で盛り上がったの……!?」
「えー、なんだったかなぁ? 美織は思い当たる節、ないのぉ?」
またニヤリと笑ったたっちゃんを前に、思わず頬を膨らませた。
情けないことに、思い当たるフシがありすぎて……。
この間の体育の授業で、体操服を後ろ前に着てたこと?
定期入れを落としたと思って必死にカバンの中を探したら、実は手に持っていたこと?
それとも、昼休みだと思ってお弁当を食べようとしたら、まだ三限目の休み時間だったことか……。
「たっちゃんのバカぁ……」
「バカなのは美織でしょ」
頭を抱えた。どの話も知られたらダメなやつだ……。
それをユウリくんに知られてしまったと思うと、どうしてか恥ずかしくてたまらないんだ。
「まぁでも、ユウリくんはいい人っぽいし? 美織のドジな話を聞いたところで、態度が変わるわけでもないでしょ」
「そ、それは確かに、そうかもしれないけど……」
そういう問題じゃない、とも思う。
私はユウリくんに自分の失敗エピソードを知られることが、誰に知られるよりも恥ずかしいと思うって話で……。