俺の「好き」は、キミ限定。
「私は昔から、そんなお姉ちゃんとよく比べられたんだ。"愛美ちゃんは本当に可愛いのにねぇ"、"姉妹でも全然似てないね"って、みんな、私の顔を見て苦笑いしながら言うの」
「……っ、そんなの──!!」
「ううん、平気。そう言われることにも慣れたし、別にもう……気にしてるわけじゃないから、大丈夫」
「でも……っ」
「本当に、大丈夫なの。ただ……ときどき、息苦しくなるってだけ。お姉ちゃんと比べられることにすごく疲れて、そんな自分が……どうしようもなく、嫌になるの」
再び苦笑いを零すと、ユウリくんはまるで自分が傷つけられたみたいな顔をした。
私は別に、お姉ちゃんのことが嫌いなわけじゃない。
寧ろ姉妹の仲は良い方だと思うし、お姉ちゃんのことは大好きだ。
お姉ちゃんだって私を妹として、昔から可愛がってくれているし、いつだって優しかった。
それなのに私は時々、お姉ちゃんの妹であることに、疲れてしまう。
疲れて嫌気が差して、いつもそんな自分が情けなくて、悲しくて……。
「お姉ちゃんは何も悪くないのに。私は家族で妹なのに、そんなふうに思うのってお姉ちゃんに申し訳ないし……絶対に、変だよね?」
「ミオ……」
「お姉ちゃんのことは大好きなのに、お姉ちゃんの妹じゃなければ良かったって……ときどき、どうしても考えちゃうの」
ずっと胸の奥に閉じ込めていた想いを声にしたら、涙が零れそうになった。
お姉ちゃんの妹になんてなりたくなかった。
そうすれば、こんなふうに比べられたり、さっきの服屋さんのときみたいに嫌な思いもせずに済んだのに……って、思ってしまう自分がいる。