俺の「好き」は、キミ限定。
 


「……だから。その、ユウリの言う友達ってなんだよ。ユウリはミオちゃんのこと、最初から友達だなんて思ってないじゃん。お前は恋愛対象として、ミオちゃんのことが好きなんだろ?」

「そ、それは確かに、そうだけど……っ」

「だったら、お前が言う"友達"ってのはただの言い訳だろ。ミオちゃんには恋愛対象として見られてないから、友達って言葉を逃げ道にしているだけで、本当の意味で友達になれるわけじゃない」


──友達って言葉を、逃げ道にしてるだけ。

言葉にされるとズシンと心に重石が落ちてきたみたいだった。

確かに俺は、本当はミオと友達になりたいわけじゃない。

ミオには俺を男として……恋愛対象として見てほしいんだ。

だからこそ、ミオに『友達』だと言われてショックだった。

ナルの言うとおり、そんな相手と、本当の意味で友達になんてなれるわけがない。


「俺は前にも言ったけど、そもそも男女間の友情なんて成立しないと思ってるから。その、ミオちゃんの親友の男?だかも、俺から言わせれば信用ならない。お前を油断させて、本当はミオちゃんのことが好きで、ミオちゃんのこと、狙ってるんじゃない?」

「な……っ、たっちゃんはそんな奴じゃ──」

「そんな奴じゃない、ってユウリに言い切れんの? ユウリはまだ、ソイツと一度しか会ったことないんだろう? それなのに、そのたった一回で、相手の心の奥まで全部見えた気でいるのかよ。笑わせんなよ」


ハッと鼻で笑ったナルは、そっと目を細めた。

 
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