俺の「好き」は、キミ限定。
 


「えへへ……。そしたら、学園祭もあっという間に終わっちゃうね」

「え?」

「今日も、手を繋いで歩いてきたら、あっという間だったから……。きっと、学園祭もドキドキしてるうちに、終わっちゃう」


ほんのりと、桜色に染まった頬。ふわりと風が吹いて髪が揺れる。

──ドキドキして、なんて。

今、そんなことを言うのは反則だろ?

ミオは、俺のことをただの友達だと思ってるんだよな?

それなのに、ミオは友達の俺にもドキドキするの?


「ミオ、俺──」


俺、ミオのことが好きだよ。

友達としてじゃなく、ミオのことが好きなんだ。

だけど、そう言いかけた瞬間、繋がっていた手が離れた。

離したのはもちろんミオで、不意をつかれた俺は言葉を飲み込み、思わず離れた手を見つめてしまう。

 
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