俺の「好き」は、キミ限定。
「送ってくれて、ありがとう。恋愛指南書のレッスンも……これでまた一つ、達成できたよね?」
──恋愛指南書。
ああ、そうだ。俺達は、恋愛指南書に書いてあるとおりに手を繋いだだけだった。
「次のレッスンも、【初デートを楽しもう!】だったから……。ユウリくんは、その意味も込めて、今度一緒に出掛けようって誘ってくれたんだよね?」
当たり前のように尋ねられ、胸の奥がズキリと痛んだ。
俺は手を繋ぎたくて繋いだだけだ。
デートだってミオと一緒に出掛けたいから誘っただけで、恋愛指南書なんて……関係なかった。
「ユウリくん……? どうしたの?」
まつ毛を伏せた俺を見て、ミオが不思議そうに首を傾げる。
ミオはあくまで"友達の俺"と恋愛指南書の内容を実践しているだけなのだと思い知らされて、返す言葉を失った。
ああ、なんだか、一人で浮かれてバカみたいだ。
やっぱりミオは俺のこと──友達としか思っていない。