俺の「好き」は、キミ限定。
 


「……また、電話してもいい?」

「え?」

「夜とか、ミオの時間のあるときに、また電話してもいい?」


とにかく、少しでも【違うんだ】と伝えたかった。

俺は恋愛指南書通りに動いているわけじゃない。

今日手を繋いだこともデートに誘ったことも、恋愛指南書に書かれていたからじゃないということを伝えたくて、必死だった。


「それは……あの……。恋愛指南書に書いてあったからとかではなくて……?」

「うん。そうじゃなくて、ミオの声が聞きたくなったら電話してもいい?」


真っすぐにミオを見て尋ねると、戸惑うミオの頬にはまた淡い赤が差した。

本当なら、今すぐ告白するべきなのかもしれない。

だけど……今、ここで告白する勇気なんてさすがになかった。

こんなにハッキリと友達だと一線を引かれたあとで、好きだと伝えられるはずがない。

 
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