俺の「好き」は、キミ限定。
 


「ふぅ〜〜」


それでも、緊張していつも通りではいられないんだ。

ユウリくんと二人きりで出掛けると思うと……少しでも、可愛い格好をしたいと思う自分がいる。

『だ、だって、ユウリくんがカッコイイから……。隣を歩く私が変な格好してたら、ユウリくんに恥をかかせちゃうかもしれないし……』

『ふ〜〜〜ん、あっそう。へぇ〜〜』

思い出すのは昨日の学校帰りに、たっちゃんと服を買いに行ったときの会話だ。

『どうしてそんなに可愛くして出かけたいと思うわけ?』と聞かれたので答えると、たっちゃんは呆れたような、面白そうな表情で私を見つめた。


「よし……っ。今度こそ、大丈夫……っ」


独り言をこぼしながら、心臓を落ち着かせるように胸に手を当てる。

鏡の中の私は、真っ白なスタンドネックのシフォンブラウスに、膝丈のブラウンチェック柄のスカートという出で立ちだ。

それはあの日……お姉ちゃんとお姉ちゃんの友達たちと会って買えなかった、私が生まれて初めて着たいと思った服だった。

 
< 172 / 288 >

この作品をシェア

pagetop