俺の「好き」は、キミ限定。
 


『うん、美織のわりには、なかなかいいセンスしてるじゃない! でも、よく決断できたよね〜。だって、お姉ちゃんたちと会って、自分には似合わないかもって思ったんでしょ? 今までの美織だったら、絶対に諦めてただろうに……』

レジでお会計を済ませてから帰る途中、着いてきてもらったたっちゃんに、そう言われた。

たっちゃんの言うとおり、私も買いに行くギリギリまで悩んだし、やっぱりやめようかとも何度も思った。

だけど、あの日──。ユウリくんが、私に勇気をくれたから。

『自分を他の誰かと比べる必要なんてない』と言ってくれたから、私は私らしく、自分が着たい服を着ようって思うことができたんだ。


「はぁ……」


やっぱり、私、なんだか変だよ……。

『完璧に磨かれた宝石よりも、俺はこっちのありのままで綺麗なシーグラスのほうが好き』

『他の誰がなんと言おうと、俺にはミオ以上に可愛いと思える女の子なんていないし、この先もそれは絶対に、変わらない』


はぅ……。

思い出すと、また顔が熱くなって心臓が落ち着かない。

あのときユウリくんは、落ち込む私をなんとか元気づけようとして、そう言ってくれたんだと思った。

ユウリくんの言葉に、深い意味なんてない。

だって、ユウリくんはすごく優しい男の子だから……。

だけど、わかっていても免疫のない私は思い出すたびにドキドキして、どうしても、ユウリくんのことを考えずにいられないんだ。

昨日だって、そのせいでユウリくんの顔を真っすぐに見られなかった。

恋愛指南書の内容を実践するために繋いだ手なのに、ドキドキして、落ち着かなくて……。

 
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