俺の「好き」は、キミ限定。
「チケットなら、買っといた。混むと並ぶの大変だなーと思ってさ」
「わ……ありがとう……。あ、待って! お金、渡すね!」
慌てて鞄の中から財布を取り出して、チケット代をユウリくんに払おうとした。
だけど、そんな私の頭にポンと手を置いたユウリくんは、とても穏やかに目を細めて……。
「ううん、いらない」
「え……? でも……」
「俺がミオと水族館行きたかったから誘ったんだし。俺、一応バイトもしてるし、これくらい払わせて」
柔らかな笑顔を見せたユウリくんは、私の髪を優しく撫でた。
「だから、はい。どうぞ」
チケットを受け取ってから、改めてユウリくんを見上げる。
頭から手が離れたあとも、温もりだけが残っていた。
考えてみたら、私服のユウリくんを見るのは初めてだった。
細身のジーンズに、ブランドのロゴの入った黒のTシャツ。靴はいつか見た星のマークが特徴的なネイビーのスニーカーで、靴紐だけがオシャレなものに変わっていた。
シンプルなのに、見惚れるほどカッコイイ。
さっきから、友達連れで来ているらしい女の子たちがチラチラとこちらを見てるのは、間違いなくユウリくんを見ているんだろう。