俺の「好き」は、キミ限定。
「……やっぱ、可愛い」
「へ……?」
「……ううん。行こ」
繋がれた手を、ユウリくんが引いて歩いていく。
私はそんなユウリくんの一歩後ろをついていきながら、ドキドキする鼓動に一人、耳を澄ませた。
✽ ✽ ✽
「ねぇ、こいつ、可愛くない? フウセンウオの赤ちゃんだって」
「わ……ほんとだ! さっきのクラゲも可愛かったけど、こっちも可愛い!」
それからイルカショーを楽しんだ私達は、館内を二人で見て回った。
その間もずっと手は繋がれたままで、いつの間にか最初に感じていた違和感も、なくなっていた。
「あ……。あっちにはペンギンがいるみたい! ユウリくん、今度はあっちに──」
けれど、そう言って私が向かいの水槽を指差したとき。
不意に後ろで話す女の子たちの声が耳に入って、思わず言葉を止めて固まった。
「ねぇねぇ、あの人……さっき、入口にいた人じゃない?」
「あ。ほんとだ! やっぱりカッコイイね〜。背、高いし、超タイプ」
キャッキャと話す女の子たちの姿が、水槽越しに見えてしまう。
多分、年は私達と同じくらいで……とても可愛い女の子二人組だ。