俺の「好き」は、キミ限定。
 


「ペンギン、いいね。ちょうどエサやりの時間っぽいし」

「う、うん……」


振り向くこともできない私は、つい、二人の会話に耳を澄ませてしまった。


「あーでも、隣にいるの、彼女じゃない?」

「ほんとだ〜。手、繋いでるし、絶対そうじゃん。残念すぎるー」


──残念すぎる、というのは、何に対しての言葉だろう。

自分たちがカッコイイと思った男の子に彼女がいたことが残念?

それとも……誰が見てもカッコイイ男の子の隣にいる私が、どう見ても残念すぎるということだろうか。


「ミオ、どうした?」


背中で、女の子たちの気配が遠のいていくのを感じた。

ハッとして顔を上げれば、心配そうに私を見るユウリくんと目が合った。


「もしかして、疲れた? もし疲れたなら、少し休もうか?」


ユウリくんは、本当に私が疲れてしまったんだと思ったのだろう。

カッコイイだけじゃなくて、すごく優しい男の子。

こんなに素敵な人なら──彼女がいて、当たり前。

きっと、彼女がいないほうが変だし、ユウリくんのことが好きだという女の子も、ユウリくんのまわりにはたくさんいるに決まってる。

 
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