俺の「好き」は、キミ限定。
「それじゃあ、また……」
グッと唇を噛みしめて、繋いだままだった手を離して立ち上がった。
するとユウリくんも一緒に立ち上がってくれて、開いた扉の前まで来てくれる。
「色々、本当にありがとう……」
胸の前でギュッと手を握って、背の高いユウリくんを見上げた。
同時に、ホームには発車の注意を促すアナウンスが響き渡り、私は一歩後ろへと足を引く。
……本当に、あっという間だった。
また、こんなふうにお出かけもできるかな?
……ううん、無理だよね。だってもう、恋愛指南書にはデートの項目はなかったし。
次のテストが終わる頃には指南書のレッスンも終わってるかもしれないし、そしたら今日みたいに打ち上げで出掛けることもできないだろう。
「……っ、え!?」
そのとき、発車のベルが鳴り響くギリギリで、ユウリくんがホームに降りた。
突然のことに驚いた私は息を呑んだあとで、前に立つユウリくんを呆然と見上げた。