俺の「好き」は、キミ限定。
 


「ごめん、俺……っ。もう少し、ミオと一緒にいたい」


ハァ……と息を吐いたユウリくんの顔は赤くなっていて、口元は手の甲で隠されている。


「ダメ、かな?」


ダメなんかじゃない。

だって……。だって私も、ユウリくんと同じように、もう少し……もっと一緒にいたいって、思っていたから……。


「楽しすぎて、どうしてもミオと離れ難くて」

「わ、私も……」

「え……?」

「わ、私も、もう少し一緒にいられたらいいなって思ってたから……その……」


「──だから、嬉しい」と、続けて、今にも消えそうな声で言った私の言葉は、ユウリくんに届いたかわからない。

けれど、そっと繋がれた手は温かくて、思わず胸がキュンと鳴るのが自分でもわかった。

『そもそもね、恋はしようと思ってするものじゃなくて、突然落ちるものなんだから』

『気が付いたら落ちてるの。もう引き返せないとこまでね』

ふと、以前、たっちゃんに言われた言葉が脳裏を過ぎった。

恋は、しようと思ってするものじゃない。

気がついたら、知らないうちに落ちてるものだって、たっちゃんは言ったけど──。

 
< 187 / 288 >

この作品をシェア

pagetop