俺の「好き」は、キミ限定。
 


「あ……」


そのとき、机の上に置いてあった携帯電話が震えた。

確認するとミオからのメッセージで、明々後日の放課後の予定をどうするかが書かれていた。


「……ミオちゃんと、今日とか明日は会わないわけ?」

「うん。ミオ、委員会の予定があるみたいだし、俺も学園祭の準備を手伝わないといけないし……」


土曜日に、二人で水族館に出掛けたばかりなのに、もうミオに会いたくてたまらない。

毎日少しずつミオのことを考える時間が増えて、ミオに触れれば触れるほど……自分がどんどん欲張りになっていくのがわかってしまう。


「……なんか、俺、ヤバイかも。ミオを知れば知るほど、もっと好きになっていく」

「……でも、それが恋ってやつだろ」

「え……?」

「好きになればなるほど、幸せと一緒に苦しいことも増えていく。そういうもんだろ、恋ってさ」


思いもよらない言葉に、落としていた視線を上げた。

すると漫画から目を上げたナルの真っすぐな瞳と目が合って、思わず鼓動がドクリと跳ねる。

まさか、ナルからそんな言葉が出てくるとは思わなくて──。

なんだかさっきから、少し、いつものナルとは違うような気がする。

 
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