俺の「好き」は、キミ限定。
 


内容は……【何気ない日にプレゼントを贈ろう】。

いつもの例文には、【草むしりをしている相手に、カルピスをプレゼント!? サプライズで笑顔にしちゃお】なんて書かれているけれど、いよいよこの例文に意味があるのか疑問しか浮かばない……。


「プレゼントって、何がいいのかサッパリで……。だから、たっちゃんにも相談した結果、手作りクッキーにしたんだけど……」


そう言うミオの手には、綺麗にラッピングされたクッキーが乗っていた。

手作りクッキーって……いや、普通に嬉しいし、どこから見ても美味しそうで、ミオが言ったみたいな毒味なんて絶対に必要なさそうだ。


「……ありがとう。めちゃくちゃ嬉しい。今、食べてもいい?」

「う、うん……! どうぞ……!」


二人で並んで公園のベンチに腰掛け、ミオの手からクッキーを受け取った。

ひとつひとつ丁寧に型どられた、クマの形の可愛らしいクッキーだ。

チョコレートで顔も描かれているし、随分手も込んでいるように見えるけど……。


「……うわ、うまっ」


サクリ、と良い音を立てたクッキーは、口に入れた途端ホロホロと崩れた。

絶妙な甘さと、紅茶の香りが鼻から抜ける。

手作りクッキーなんて久しぶりに食べたけど、こんなに美味しいクッキーを食べたのは初めてだった。

もちろんそれは、ミオの手作りってことが一番の理由に決まっているけれど……。

 
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