俺の「好き」は、キミ限定。
「お世辞抜きで、めちゃくちゃ美味しいんだけど。これ、ミオが作ったの? すごくない?」
「あ、ありがとう……。バタークッキーだから甘くなりすぎないように、少し、紅茶も入れたの。大丈夫そうで良かった……」
口の前で両手を合わせ、心底ホッとしたように微笑むミオが、たまらなく可愛い。
何より、俺のためにこのクッキーを一生懸命焼いてくれているミオの姿を想像したら、たまらなく嬉しかった。
この一枚一枚に、ミオの気持ちが込められてる。
なんか、そう考えると食べ終わるのがめちゃくちゃ勿体無いんだけど……。
「これ……写真撮ってもいい?」
「え?」
「だって、こんなに可愛く作ってくれたのに、食べて終わりとか勿体無いし」
膝の上にクッキーの入った袋を置いて、ポケットから携帯電話を取り出した。
そして、袋の中からクッキーを一枚取り出すと、驚いた表情で固まるミオと一緒に写真に収める。
「え、あ……嘘っ。今、絶対変な顔してた……っ!」
「ふは……っ、いつも通り可愛いよ? でもこれで、心置きなく食べられそう」
撮ったばかりの写真を眺めてからポケットに携帯電話を戻すと、もう一枚クッキーを頬張った。
またホロホロと口の中で崩れたクッキーは、ミオに聞いたからなのか、ほんのりとバターの香りと一緒に紅茶の香りが鼻を抜ける。