俺の「好き」は、キミ限定。
「可愛い二人だから、値引きしておくね?」
「え……でも……」
「いいのいいの。その代わり、これからたくさん使ってね! ありがとうございました」
ヒラヒラと手を振るお姉さんに、二人で揃って頭を下げた。
「ありがとうございました。ミオ、行こう?」
「う、うん……っ。あの……、ほんとにありがとうございました! 大事にします!」
お姉さんにお礼を言って、並んでその場をあとにした。
そして、今来た道を戻ると駅につく前に、改めてミオに向き直る。
「はい。これ、どうぞ」
渡したのはもちろん、今買ったばかりのイヤリングだ。
お姉さんが透明の袋でラッピングしてくれたおかげで、中のイヤリングもハッキリと見ることができた。
「……っていっても、そんなに高いものじゃなくて申し訳ないけど」
「ううん……。ありがとう、嬉しい。このイヤリング、すごく素敵だなって思ってたから……。本当に本当に、嬉しい。ユウリくん、ありがとう」
イヤリングを受け取ったミオは、とても幸せそうに微笑んだ。
俺達は別に恋人同士でもなければ、今日が何かの特別な記念日だと言うわけでもない。
それでも、ミオのこんなに嬉しそうな笑顔が見られるなら、諦めずにプレゼントを渡せて良かったと思う。
……寧ろ、俺のほうが嬉しいくらいだ。
ミオに、こんなに喜んでもらえて、俺のほうこそたまらなく幸せな気持ちになって、心が充実感で満たされる。