俺の「好き」は、キミ限定。
 


「でも、今日は来てくれてありがとう」

「え……?」

「ほら……一昨日、俺が突然告白なんてしちゃったから、もしかしたらミオは今日、来てくれないかもって思ってたから……」


言いながら苦笑いを溢したユウリくんは、困ったように頬をかいた。

その姿を見ていたら、胸が針で刺されたようにチクリと痛んで、思わず言葉に詰まってしまった。


「ご、ごめんね、私……。あのとき、ちゃんと返事ができなかったから……」


俯くと、ユウリくんは「違うんだ」と首を振る。


「俺が、返事は今すぐいらないって言ったんだし。だからミオは、何も気にする必要ないから」

「でも……」

「……今日、来てくれて嬉しい。そのイヤリングも……つけてくれて、ありがとう。やっぱりミオに、よく似合ってる」


そう言って、ふわりと鳥の羽が広げられたように微笑んだユウリくんは、私の前に左手を差し出した。

"ありがとう"なんて、全部私のセリフなのに。

どうしてユウリくんはいつだって、私のことばかりを気遣ってくれるんだろう。


「これから、中を案内するよ。今日一日、ミオに楽しんでもらえるように、頑張るから」


頑張る、なんて。そんなふうにしてもらわなくても、私はユウリくんといるといつだって楽しかった。

ああ、そっか。これが、恋をするってことなのかな。

好きな人のことを思うとドキドキして、ただ一緒にいるだけで楽しくてたまらない。

 
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