俺の「好き」は、キミ限定。
 


「……ユウリくん、ありがとう」


差し出された手に自分の手を重ねると、幸せが胸いっぱいに溢れていく。

──好き。

やっぱり私は、ユウリくんのことが好きなんだ。

いつだって優しくて、私のことを大切に想ってくれる。

私とお姉ちゃんを比べることはせず、ただ、私だけを真っすぐに見てくれるユウリくんが好き。

ユウリくんは私にとって特別で、私はユウリくんの隣にいると、いつだって幸せだった。

今もまだ、そんな彼に私が相応しいのかどうか自信なんて持てないけれど、たっちゃんの言うとおりだ。

ユウリくんが私を好きだと言ってくれるなら、私はその彼の気持ちを真っすぐに信じたい。


「ユウリくん。私──」


私も、ユウリくんのことが好き。

けれど、意を決して自分の気持ちをユウリくんに伝えようとしたとき。

不意に、校門の向こうに立つ"ある男の子"の姿が目に入って、私は咄嗟に出かけた言葉を飲み込んだ。

 
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