俺の「好き」は、キミ限定。
「あ……。ナル! ごめん、お待たせ! 今、ちょうどミオと話してたところで……」
彼が、ナル……くん?
ユウリくんが声をかけると、その男の子……ナルくんはフェンスに預けていた身体を持ち上げ、気だるそうにこちらを向いた。
その瞬間、お互いの視線が交差する。
大きくドクリと跳ねた鼓動は……嫌な予感を的中させた。
「その子が……ミオ、ちゃん?」
「うん、白坂 美織さん。それで、ミオ。コイツが前から話してた、俺の親友のナルこと、佐鳴十夜だよ。今、ミオを紹介しようと思って、ついてきてもらったんだ」
──一瞬、何が起きたのかわからなかった。
夢でも見ているんじゃないかとさえ思ったけれど、間違いなくこれは現実だった。
「ほんとは、もっと前にミオにナルを紹介できたら良かったんだけど──」
「──トウヤ、くん?」
「え……?」
「ナルくんって……。トウヤくんのことだったの……?」
私の問いに、"ナルくん"こと、"サナル トウヤくん"は眉根を寄せて押し黙った。
色素の薄い、茶色がかった栗色の髪。
スラリと高い背とビー玉みたいに綺麗な瞳も、あの頃と少しも変わっていなくて胸が痛い。