俺の「好き」は、キミ限定。
「え……もしかして、ふたり、知り合いだったの?」
驚いたように目を見開いたユウリくんの言葉も、今はどこか遠い世界で聞こえているような気がした。
──トウヤくん。
彼と会うのは、中学生のとき以来だった。
中学二年生のときに初めて同じクラスになって、同じ教室の中で、同じ時を過ごした同級生。
そして最後に彼の顔を見たのは、中学校の卒業式だ。
出席番号順で座っていた私達の席は前後だったけれど、お互いに目を合わすことは一度もなかった。
……当然といえば、当然だろう。
だってそのときの私達の間には、とても大きく深い、溝ができてしまっていたのだから。
「やっぱり……まさかとは思ったけど、ミオって、シラサカのことだったのか……」
呟いて、まつ毛を伏せたトウヤくんはあの頃と同じように苦しそうに表情を歪めた。
ねぇ、やっぱりってどういうこと?
そう思うのに、言葉は声になってくれなくて、息をすることさえ苦しくてたまらない。
『お前に、何がわかるって言うんだよ』
『恋をしたこともないお前に、俺の何がわかるんだ‼』
耳の奥で木霊する、悲痛な叫び。
それが聞こえた瞬間私はユウリくんと繋いでいた手を勢い良く離すと、耳を覆うようにしてギュッと強く拳を握った。