俺の「好き」は、キミ限定。
『俺とミオちゃん……シラサカは、同じ中学出身なんだ』
『え……ナルと、ミオが?』
『ああ。会うのは、卒業式以来だけど……』
ナルが言うには当時、ナルはミオのことを【シラサカ】と名字で呼んでいて、ミオもナルを【トウヤくん】と呼んでいたから、俺を介して話を聞いていただけでは気づけなかったのだということだ。
それにしても、まさかナルとミオが同じ中学出身だったなんて……想像もしていなかった俺は、ただただ動揺して相槌を打つので精一杯だった。
『ユウリには前に少し話したけど……俺、その頃好きだった人に手酷くフラレて。今の女嫌いも、そのとき"友達でいよう"って言われたことが原因だって、前に少し話したよな?』
『うん、聞いたけど……』
ナルが中学生の頃、好きだった人に手酷くフラレて、女嫌いになったということは、以前ナル自身から聞かされたことがあった。
ナルの、【男女間の友情は成立しない】という考え方も、その出来事が原因なんだ。
好きだった人に、『最初から友達以上には見れなかった』と言われてフラレたあと、『これからも友達でいようね』と笑顔で告げられたのだという。
ナルからすれば彼女と【友達】になんてなれるはずもなく、自分が酷く惨めで滑稽に見えて、仕方がなかったということだ。
『その、俺がフラレた相手っていうのが、ミオちゃんの……シラサカの、お姉さんなんだ』
『え……』
驚いた。驚いたというより、衝撃的だったと言ったほうが正しいだろう。
ミオのお姉さんが……中学の頃、ナルをフッた相手?
ナルが告白したときに、『友達としか思えない』と言って、『これからも良い友達でいてね』と笑った女の子がミオのお姉さんだったなんて、まさかそんな偶然が起きるなんて信じられない。