俺の「好き」は、キミ限定。
『今でもミオは、お前に言われた言葉のせいで傷ついてるっ』
何より俺は、自分にとって一番近しい友達であるナルがそんなことを言ったなんて、信じたくなかった。
『自分とお姉さんを比べて、辛い思いをし続けてるんだよ!』
──いつだって余裕たっぷりで、堂々としているナル。
俺の知っているナルは曲がったことが嫌いで、決して安易に人を傷つけるような男じゃなかった。
『それなのに……っ、なんで、よりにもよってお前が……っ』
振りほどくように手を離すと、ナルの身体はフラフラとよろめいた。
──こんなこと、許されるはずがない。許せるはずもなかった。
まさか自分の親友が、自分の好きな子を苦しめている相手だったなんて思いもしなくて──。
『……ごめん、ユウリ』
『……っ』
『悪かったな、幻滅させて。でも、俺はこういう人間だから』
『は……?』
『お前みたいに、真っすぐな奴と一緒にいられるような人間じゃなかった。だから……俺はもう、お前にも近づかないから。安心してあの子のことを追いかけろよ。……ごめんな』
そう言って、口元に僅かな笑みを浮かべたナルはまつ毛を伏せたまま、校舎の中に消えていった。
残された俺は、そんなナルを前にどうするべきなのか、わからなくて……。