俺の「好き」は、キミ限定。
 

 


「ハァ……」


静まり返った図書室の空気に、もう何度目かもわからない溜め息が消えた。

溜め息の理由を言い出したら切りがないくらい、今、私の心は憂鬱に満ちている。

……学園祭の日、"ナルくん"こと"トウヤくん"に再会してから早一週間。

その途中でユウリくんから貰ったばかりのイヤリングを落として……雨の中を必死に探してから、もう一週間が経とうとしているなんて信じられない。

あの日、一時間ほど公園の中や走ってきた道を探してみたけれど、結局イヤリングを見つけることはできなかった。

挙げ句の果てには長時間雨に濡れたせいで酷い風邪を引いて寝込むことになり、四日も学校を休んでしまった。

そして今は、休んでいる間にできなかった図書委員の仕事を引き受け、ようやく終わらせたところだ。

なんかもう、残念すぎて涙も出ない。

たっちゃんにも「バカ」だと怒られたし、自分でもどうしてこんなに要領が悪いのか呆れずにはいられなかった。

 
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