俺の「好き」は、キミ限定。
「シラサカ……」
ぽつりと、風に乗った声が耳に届いた。
まるで、私達の周りの景色がモノクロになって時間が止まったような気さえした私は、再び静かに喉を鳴らした。
どうして──。どうして、トウヤくんがここにいるの?
トウヤくんもこちらに気が付き、校門に預けていた背を離して私を見つめる。
そうしてゆっくりと距離を確かめるように私の前まで歩いてくると、1メートルほど離れた場所で足を止めた。
「トウヤくん、どうして……」
どうして、こんなところにいるの?
「シラサカを待ってた」
「私を……?」
「……うん。どうしても、話したいことがあって」
ドクドクと脈を打つ鼓動が、やけにうるさく耳に響く。
話したいことって何? なんのこと?
トウヤくんとこうして対峙するのは、あの日以来だ。
私がトウヤくんを傷つけた、中学生のとき以来で……。
これから何を言われるのかと思ったら怖くて、緊張と不安でいっぱいになって唇が震えた。