俺の「好き」は、キミ限定。
「あ、あの……。トウヤくん、私──」
「……っ、ごめん!」
「え……?」
「あのときは、本当に悪かった……! 今更謝っても遅いかもしれないけど……本当に本当にごめん‼」
けれど身構えた私とは裏腹に、突然頭を下げたトウヤくんは私に向かって何度も謝罪の言葉を口にした。
え、え……? どういうこと?
予想外のことに混乱した私はまたなんと返事をしたら良いのかわからなくなって、ただ呆然とトウヤくんの後頭部を見つめてしまった。
「あの日、俺は……シラサカの優しさに甘えて、取り返しのつかない酷い八つ当たりをした」
「八つ当たり……?」
「……うん。愛美さんにフラレて、気持ちの行き場がなくなってて……。シラサカが、俺を励ますために声を掛けてくれたってわかってたのに、そんなシラサカの気持ちを無下にして、酷いことを言った」
──ズキリ、と胸が痛んだのは、トウヤくんの言う"酷いこと"の内容を思い出してしまったからだ。
冷たい声と、射るような視線。
あの日以降、こちらを見ることもなかった彼との間に出来た大きな溝。