俺の「好き」は、キミ限定。
「シラサカが、自分のお姉さんである愛美さんと比べられることで辛い思いをしてたって、友達の俺は少なからず気づいていたのに……。そんなシラサカの傷をえぐるような言葉を、俺はあの日、シラサカに浴びせた」
ドクン、と鼓動が跳ねたのは、たった今トウヤくんが口にした言葉が引っ掛かったからだ。
友達の俺、って……?
だってトウヤくんは、私のことを友達だと思っていなかったんじゃないの?
「トウヤくん、友達って……」
「……うん。そのことについても、本当にごめん。俺、あのときシラサカのこと、"友達だなんて思ったことはない"って言ったけど……それも全部、投げやりになって言ったことだった」
「で、でも──」
「今更だってわかってるけど、俺、ああなるまではシラサカのこと友達だと思ってたよ。それに、愛美さんに近づくために妹のシラサカに近づいたっていうのも嘘だ」
「嘘……?」
「うん。俺はシラサカと友達になりたくて友達になったんだ。愛美さんを好きになったのだって、シラサカと友達になったあとだったし……。愛美さんがどうとか、そんなのまるで関係なかった」
そう言って、顔を上げたトウヤくんの目は真っすぐに私を見つめていた。
あの日、私を突き放した彼の冷たい目とはまるで違う。
私がずっと見てきた、優しい彼の綺麗な瞳だ。
初めて私とお姉ちゃんを比べずにいてくれた……トウヤくんの、温かい眼差しだった。