俺の「好き」は、キミ限定。
「ユウリは……俺がシラサカと関わりのある奴だって知ってたら、こうなる前にちゃんとシラサカには俺のことを話していたはずだ。だから多分、ユウリもすごく戸惑っていたと思う」
ああ、そっか……。
トウヤくんはあのあと、私と自分の関係をユウリくんに話したんだ。
私も以前、ユウリくんに中学生の頃の話しをしたから、それでユウリくんは全てを知ってしまったに違いない。
「ユウリに全部話した。中学生の頃、俺がシラサカを傷つけたことも何があったのかも全部話した。そしたら俺は……ユウリに、殴られたよ」
「え……?」
「ユウリには、俺が愛美さんにフラレたことはシラサカには関係のない話だろって怒られた。ほんと、ユウリの言うとおりだよな……。ユウリとは友達になってもう長いけど……あんなにキレてるアイツを見るのは、初めてだった」
胸が締め付けられるように痛んだのは、そのときの二人の光景が不思議と想像できてしまったからだ。
それでも優しいユウリくんが、親友であるトウヤくんを殴るなんて……。
私のせいで、一体どれだけ二人を振り回してしまったんだろう。
「ユウリは俺とは違って、すごく誠実で真っすぐなやつなんだ」
ぽつりとつぶやくように言ったトウヤくんは、寂しげな笑みを浮かべる。
「シラサカが俺のことを許せないって思うのは当然だし、俺も許してもらえるとは思ってない。だけど、ユウリは違う。ユウリは、俺達のこととは無関係だから……ユウリのこと、もう一度しっかり考えてもらえないかな?」
「え……」
「俺とは違って、ユウリは真面目で本当に良い奴なんだ。曲がったことが嫌いで、バカみたいに親切で、とことん人の為を思って行動できる奴だから。ユウリなら絶対に、シラサカのことを幸せにしてくれると思う。アイツは絶対、俺みたいにシラサカのことを傷つけない」
そう言うトウヤくんの瞳には、薄っすらと涙の膜が張っていた。
そんな彼の目を見ていたら、なんだか私まで目の奥が熱くなって……。
苦しくて、切なくて、たまらない気持ちになる。