俺の「好き」は、キミ限定。
 


「あ……ありがとう……っ。それと、落としてごめんなさい……っ」


受け取ったイヤリングをギュッと胸の前で握り締め、溢れだした涙を拭う。

あんなに探しても見つからなかったから、もうどこかに行ってしまったか、誰かに拾われたのだと思っていた。

見つかって、本当に本当によかった。


「謝るなら俺のほうだよ。これのために酷い風邪を引かせることになって、本当にごめん」


そう言うと、ユウリくんは長いまつ毛を伏せてから、再び静かに顔を上げた。


「それと、もう一つ……ナルのことも、本当にごめん。謝って許されることじゃないかもしれないけど、俺からもミオに謝らせて。それで、図々しいお願いだってわかってるんだけど……ナルのこと、もう一度だけ、よく見てやってくれないかな」

「え……」


困惑の声を出したのは、私だけではなかった。

トウヤくんもユウリくんの言葉に驚いたように目を見開いて、固まっている。


「ユウリ、お前何言って──」

「過去、ナルがミオを傷つけたことは絶対に許されないことだと思う。だから、許してやってほしいとは言えない。でも……ナルはミオにとってのたっちゃんみたいに、俺にとってすごく大切な友達なんだ」


凛と通る声で言ったユウリくんは、私とナルくんを交互に見た。


「だから俺は、二人とも諦められない。俺は二人とも大切なんだ。ナルはきっと、もう二度とミオを傷つけたりしない。それは友達として保証する。それに、もしこの先ミオが傷つくようなことがあれば、今度は俺が守るから。だから、ミオ……もう一度だけ、俺達にチャンスを貰えないかな?」


真っすぐに私を見て言ったユウリくんは、強く拳を握り締めていた。

その手が僅かに震えていることに、多分トウヤくんも気がついていた。


「ユウリ……」


トウヤくんの声も、濡れている。

そんな二人を見ていたら、たまらない気持ちになって……。

私は溢れた涙をぬぐうと真っすぐに顔を上げ、二人のことを見つめ返した。

 
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