俺の「好き」は、キミ限定。
 


『恋も知らないお前に、俺の気持ちなんてわかるわけがない』

……今なら、あのときああ言ったトウヤくんの気持ちが痛いほどわかる。

好きな人を思うとドキドキして落ち着かない。

些細なことで不安になって、一緒にいると幸せなはずなのに、どうしてかつい後ろ向きなことを考えてしまうんだ。

それでもまた一緒にいたいと思って、ドキドキして幸せな気持ちになって……の繰り返し。

恋をするって、決して楽しいことばかりではないと、今ならわかる。


「私は本当に……なにもわかってなかったの」


なにもわかっていないくせに、わかったようなことを言ってトウヤくんを傷つけた。

だけど今なら……ユウリくんに恋をしている今なら、あのときのトウヤくんの気持ちが痛いほどわかるんだ。

もしも今、私がユウリくんに「友達でいよう」と言われたら、どれほど苦しい気持ちになるだろう。

私はユウリくんのことが好きだから……。

きっと今、彼に友達でいようと言われたらショックで、簡単には立ち直ることはできないだろう。

 
< 266 / 288 >

この作品をシェア

pagetop