俺の「好き」は、キミ限定。
「今日はわざわざ来てくれて、本当にありがとう。また今度ゆっくり、色々話せたら嬉しい──」
「コラ! お前たち他校の生徒だろ! そこで何やってんだ!」
そのとき、部室棟の方から駆けてきた生徒指導の先生の声に、私達三人は同時に肩を強張らせた。
ようやく今、トウヤくんとのわだかまりが解消されたところだったのに、なんてタイミングが悪いんだろう。
「許可もなく勝手に校内に入ってくるなんて、お前たち一体どういうつもりなんだ!」
熊のように大きな身体をしている先生は、うちの学校一の強面で、捕まったら一時間はお説教から逃れられないと悪評高い先生だった。
「や、ヤバイよ! 捕まったら大変……! 二人とも、私のことは気にしないで早く逃げて──」
けれど、私がそう言って二人を逃がそうとしたら、握手していた手とは反対の手を強く握られた。
「──え?」
弾かれたように顔を上げるとユウリくんの笑顔があって、胸がキュンと甘い音を奏でる。