俺の「好き」は、キミ限定。
 


「……うん、私も好き」


つぶやくと、背中にギュッと腕が回される。

一度目のときのように、突然のものではない。

二度目のときのように、不意打ちのことでもなかった。


「ミオ……大好き」


三度目の彼の腕の中は、幸せで溢れていた。

耳元で囁くように告げられた言葉も、とろけるように甘くて愛しい。



『あの……これ、落ちましたよ』

彼との出会いは偶然で──史上、最低なものだった。

だけど今、彼の腕の中にいる私は世界で一番の幸せ者だと思えるほど、身に余る愛を感じている。



「……ねぇ、ユウリくん?」

「うん?」

「ホンモノの恋は、恋愛指南書通りになんていかないんだね」


ぽつりとつぶやくと、ユウリくんが「え?」と小さく首を傾げた。


「だって、ユウリくんとは一緒にいるだけでドキドキするの。ユウリくんのことを考えるだけで胸がいっぱいになって苦しい。こんな気持ちになるなんて……あの本には、どこにも書いてなかったもん」

 
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