俺の「好き」は、キミ限定。
ずっと前から、【恋】がどんなものなのか知りたかった。
きっと恋は、少女漫画や恋愛小説の主人公たちがするようなキラキラしたものなのだと思っていた。
……だけど、はじめて知った恋はキラキラしているだけでなく、苦しさと切なさがたくさん詰まったものだった。
そしてそんな日々を乗り越えて、自分を変えるキッカケと強さを私にくれたのは──今、目の前にいる【彼】だった。
「そういえば……あの本に書いてあった、最後のレッスンはどんな内容だったんだろう?」
尋ねると、ユウリくんは「わからない」と小さく笑う。
でも、もうわからなくても大丈夫。
きっともう、私達にはあの恋愛指南書に載っているレッスンも例文も、必要ない。
これからは私達らしく、【ふたりで恋をはじめよう】。
私達なりの毎日を過ごして、私達なりの恋をゆっくり育んでいけばいい。
「……ミオ、さっきのイヤリング、ある?」
「え……うん。あるけど……」
ユウリくんに尋ねられ、私は鞄の中にしまったイヤリングの片方を取り出して彼に渡した。
「これ、つけてあげるよ」
そう言うと、ユウリくんは私の髪を優しく撫でる。
くすぐったくて思わずそっと目を閉じると、長い指が私の髪をすくって耳にかけ、慈しむような優しい手つきで耳たぶに触れた。