俺の「好き」は、キミ限定。
「それで……どう?」
改めて尋ねられ、私はジッと彼の瞳の奥をのぞきこんだ。
なんとなく、悪い人ではないことは伝わってくる。
実際に、わざわざこの本を渡すために私を待っていてくれたのだから、良い人ではあるのだろう。
「……わかりました。それなら一緒に、恋について勉強しましょう」
言い終えて、再び本をそっと胸元へと抱き寄せた。
すると、目の前の親切なイケメンさんはわかりやすくホッとしたように息を吐き、「よっしゃ……」と、消え入るような声で呟いた。
「あの……?」
「あっ、ごめん、つい本音が……」
「本音?」
「……っ、いや。その……」
何故か狼狽え始めた彼をジッと見つめると、彼の頬が赤く染まった。
それを不思議に思いながらもそのまま見つめていれば、彼はまた思いもよらない言葉を口にする。
「……ご、ごめん。今あんまり、こっち見ないでほしい、かも」
「え?」
「嬉しすぎて……今、俺、絶対、顔ヤバイから」
「……っ!」
言いながら、手の甲で自分の顔を隠した彼の耳は真っ赤に染まっていた。
それを見て、トクン、と心臓が跳ねたのは、どうしてだろう。
「ヤバイ。マジで顔がニヤける……」
そして次の瞬間、彼は無邪気な子供のように笑ってみせた。
その笑顔の破壊力と言ったらミサイル級で、私までつられて頬が熱くなった。