俺の「好き」は、キミ限定。


「え、と。それじゃあ、これからなんて呼ぼうかな」


不意に私から目を逸らした彼は、口元に手を当てて考え込む。

その様子を見ているだけなのに落ち着かなくて、声を出すこともできない私は、どうしてしまったのだろう。


「なんか、コレで呼んでほしい……とか、ある?」

「そ、それは……。ユ、ユウリくんの、好きなように呼んでもらって大丈夫」


同い年であることがわかったので、自然と敬語が抜けていた。

すると、しばらく考え込んだのち、彼はチラリと伺うように私を見てから、再びゆっくりと口を開いた。


「ミオ、って呼ばれたことある?」

「ミオ……は、多分ない、かなぁ」


親友のたっちゃんを含めてこれまでずっと、『ミオリ』と呼ばれるばかりで『ミオ』という愛称で私を呼ぶ人はいなかった。


「それじゃあ俺は……ミオって呼んでもいい? なんか特別っぽくて嬉しいし、ひとつくらい……ミオの一番になりたいし」

「……っ」


イタズラっ子のように笑う彼は、笑顔だけでも色んな表情を持っていた。

──ミオ。

それは彼だけが呼ぶ、特別な私の名前。

なんだかくすぐったくて、恥ずかしい。

だけど、どうしてか凄く嬉しくて……。

胸の鼓動は、ドキドキと甘く優しく高鳴って、忙しい。

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