俺の「好き」は、キミ限定。
「それじゃあ、これからよろしく。──ミオ」
数秒の沈黙のあと、渡されたのはそんな言葉だ。
同時に男の子らしい大きな手が、私の前に差し出される。
一瞬、躊躇したあとで、そっとその手を掴んだ私はゆっくりと、俯いていた顔を持ち上げた。
……ほんのりと、赤く染まった彼の顔。
私を見る目は真っ直ぐで、今度は目を逸らせなかった。
これから始まる、彼とのレッスン。
恋を叶える──ううん、恋を"知る"ための、12のレッスン。
「こちらこそ、よろしくね」
ふわりと笑うと優しい風が、私たちの足元を駆け抜けた。
胸にはほんの少しの不安と大きな期待。
そんな私を前に彼は眩しそうに目を細めると、とても綺麗に笑ってみせた。