俺の「好き」は、キミ限定。
「……そもそも女なんて裏と表がある生き物で、どいつもこいつもバカの一つ覚えみたいに、自撮り写真を見栄え良く加工することしか考えてないだろ」
吐き捨てるように言ったナルは眉間にシワを寄せて、忌々しげに舌を打った。
そんなナルに対して、つい言い返しそうになった言葉を咄嗟に飲み込む。
一見して、非の打ち所のない男だけれど、ナルはナルで色々あって、少し屈折していたりもするんだ。
「……ナルの言いたいことも、わからないでもないけどさ。でも、すべての女の子が昔、お前を傷つけた子と同じってわけじゃないだろ」
諭すように言えば、ナルはバツが悪そうに眉根を寄せた。
「ナルだって、そこはちゃんとわかってるんだろ? そんな偏見の目で相手を見て悪く言うのはお前らしくないし、自分の評価を下げるだけだから絶対にやめたほうがいいよ」
真っすぐにナルを見て伝えると、ナルは頬杖をついたまま「フン……ッ」と鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
ナルの心の奥にある、大きな傷が見えて俺まで胸が痛くなる。
それは数年が経った今でもナルの心に茨のように巻きついて、俺の大切な親友のことを苦しめているんだ。