俺の「好き」は、キミ限定。
「じゃあね! 気をつけて帰ってね!」
いつの間にか手を振って三人を見送るミオを、半歩後ろから見つめた。
ふわふわと、二つに結いた髪の毛先が風に揺れている。
花が開いたように笑うミオが可愛くて、胸が締め付けられたように苦しかった。
例えば今、俺が「好きだ」と言ったらミオはどんな顔をするんだろう。
多分きっと、すごく困った顔をするに違いない。
当然といえば、当然だ。
だって俺たちは、昨日初めてお互いの名前を知ったばかりなんだから。
だからミオは俺に告白なんてされたら、泣きそうな顔で「ごめんなさい」と謝るはずだ。
そう考えただけで、胸が針で刺されたようにチクチクと痛んで心は重石が落ちてきたみたいに重くなった。
こんな気持ちになるのは初めてで──やっぱり、どうするのが正解なのか、わからない。
「ミオは……すごいな」
「え?」
「絆創膏。いつも、持ち歩いてるんだ?」
尋ねると、ミオは照れくさそうに頷いた。
その仕草も、声も可愛い。
今、後ろからギュッと抱き締めたら、小さなミオは俺の腕の中に、すっぽり収まってしまうんだろう。