俺の「好き」は、キミ限定。
「そんな恋愛指南書を実践しようなんていう男は、ろくなもんじゃないから!」
「だから、なんでそんなこと、たっちゃんがわかるのっ。昨日だってユウリくんは、木に登って降りられなくなった男の子を助けてあげたんだよ?」
思い出すのは昨日、公園で起きた一連の出来事だ。
木登りをしていて降りられなくなった小学生を、あっという間に助けたユウリくんは、カッコよかった。
泣いている男の子を頭ごなしに叱るでもなく、見てみぬふりをするでもなく、次からは気をつけるようにと諭したんだ。
その様子をハラハラしながら見ていることしかできなかった私と違って、ユウリくんはとても頼りになる男の子だと思った。
そんな彼がろくなもんじゃないなんて、とてもじゃないけど思えない。
「そんなの、木登りしてる子供も、そのユウリとかいう奴の仕込みかもしれないでしょ!」
「し、仕込みって……。ドラマの撮影でもあるまいし……」
綺麗な顔を般若のように変えたたっちゃんは、私の返事に納得がいかないようで、ご立腹だ。
昨日の朝、私がユウリくんとの経緯を説明したところから、今すぐそんな関係は解消したほうがいいとの意見を貫いている。
もう何度「バカ」だと言われたかわからないし、溜め息だって何度つかれたかもわからない。