俺の「好き」は、キミ限定。
 


「……でも、心配なんだよ」

「え?」

「だってまた──美織が、傷つくんじゃないかと思って、心配なんだ」


すると、数秒の間を開けた後、不意にたっちゃんが呟いた。


「美織には、もう傷ついてほしくないから。だから……すごく、心配なんだ」


──私が、傷つく。

ズキリと胸が痛んだのは、たっちゃんの言葉が過去の記憶を呼び起こしたからだった。

『お前なんて、愛美さんのオマケのくせに』

脳裏をよぎるのは私を見る、軽蔑に濡れた目。

鋭い棘のような声が凶器になって、私の心を強く、深く、突き刺した。


「ユウリだって……アイツみたいに、美織のお姉ちゃんが目的で、近づいてきてるのかもしれないだろ」


言われてようやく、私はなんでこんなにたっちゃんが、ユウリくんとのことを反対しているのか気がついた。

……ああ、そうか。たっちゃんは、心配してくれていたんだ。

だからこそ、慎重になって心配してくれた。

……私って、ほんとにバカだ。

頭の中はお花畑どころか、年中無休でお花屋さんまで営業しているのかもしれない。

 
< 69 / 288 >

この作品をシェア

pagetop