俺の「好き」は、キミ限定。
「うう〜、もう穴があったら入りたい……」
ぐしゃぐしゃと長い髪に指を通して、ひとり、通学路の片隅で項垂れた。
驚きすぎて、拾ってくれた親切な人に失礼な態度を取ってしまったのも最低だ。
そもそも、どんな人が拾ってくれたのか……。
私よりも頭一つ半ほど背の高い男の人で、多分、学生だった……とは思う。
「はぁ……」
吐き出した溜め息は、ただ虚しく冷たいアスファルトに吸い込まれた。
もう……行こう。
朝から重たい心を連れて校門を抜けると、真っ直ぐに教室まで続く廊下を歩いた。
開けっ放しになっている扉。
そこを通れば、今日も明るい声が私を元気に呼びつける。