工業高校のイケメン達に愛されて【下】
「前にもお前のこと抱きしめたり、俺が奪う!とか言ったの、覚えてる…よな?」
たしかに、言われた。
体調を崩してしまった相葉くんのお見舞いの帰りの出来事だ。
…あのときほっぺにキスまでされて、驚いたのと同時にドキドキしたのを覚えている。
その行動も、あたしのことを好きでいてくれたから…だったんだよね…?
そのときは、滝本くんがそんなふうに思ってくれてるとか…わからなかった。
「まあ…そん時お前は俺の気持ちに気づいてないなと思ったけどな。」
ずばり滝本くんに言い当てられる。
なんだか申し訳なくなって小さな声で「ごめん…」と言うと、滝本くんは苦笑いをした。
けど、歪んだ笑顔のあと真剣な表情で、彼は言った。
「…俺と、付き合って欲しい。」
その声は小さく、でもはっきりと聞こえた。