工業高校のイケメン達に愛されて【下】
日直の号令で授業の終わりの挨拶をして、現文の先生と入れ違いで教室に入ってきた担任の福井先生。
福井先生のSHRはいつも短いから、あっという間に生徒は解散する。
福井先生もささっと教室から出ていってしまう。
あたしは教科書をスクバに詰め込んで、急いで滝本くんのもとへ向かった。
滝本くんは伸びをしながらあくびをしていた。
現文の授業は寝ていたんだろうなぁ。
「…滝本くん!」
「…んぁ?」
眠そうな滝本くんの目を見て、あたしは肩にかけたスクバの持ち手をぎゅっと握りしめた。
「あの…少し話したいことがあるの。…いいかな?」
「…あぁ。」
滝本くんはあたしにそう返事をすると、薄っぺらいスクバを無造作につかんで席を立った。
あたしは滝本くんの隣の席の陸くんに、「ごめんね。先に帰ってて。」と、顔の前で手を合わせた。