工業高校のイケメン達に愛されて【下】
「優介…。」
俺の後ろに突っ立っていた優介は制服姿で薄っぺらいスクバを背負っていて、帰宅途中なのがうかがえた。
優介は一人で…隣に中村はいなかった。
まあ、家逆方向だしここにはいねぇか。
この時間までどこかでふたりで過ごしていたんだろうか。
なにをしていたんだろうか。
そんな疑問はあったけど、俺はそれを飲み込んで装着したイヤホンを取り外した。
「よ。走り行くのか?」
「あ、あぁ…。優介は、今帰りなのか。」
「そ。」
優介の家は、俺の家の先だから…必ずここは通る。
だからと言ってこんなふうに会うのは、偶然だ。
なんとなく優介といるのは気まずい。
さっきまで優介に対してモヤモヤと色々考えていたから。
くそ…さっさと走り行こう。
そう思ったんだけど、優介が俺の近くに寄ってきた。
夕焼けに照らされて、優介の顔はオレンジ色に染まっていた。