工業高校のイケメン達に愛されて【下】
「なあ、翔。」
「なんだよ。」
「お前は。…お前も、緋奈のこと好きだよな?」
「…っ」
夕焼けに染まった優介の表情は真剣で。
俺は優介のその真剣な目から視線を逸らすことができなかった。
取り外したイヤホンを握りしめた手に、ぎりりっと力を込めた。
「ああ…好きだ。」
3人には、自分の気持ちを話してなかった。
まあ…女が嫌いな俺が明らかに中村に対する態度が変わってるし、気付かれているとは思ってたけど。
俺がそういうと、優介は口角を上げふっと笑みを浮かべた。
そして俺の肩にぽんと手を置くと。
「頑張れよ、翔。」
と、囁いたんだ。
…な、なんだ?
優介らしくねぇ。
俺がよく理解できていないのに、優介は「そんじゃ。」と言って片手をひらひらとあげて歩き去っていった。
頑張れよ…つまり、応援してくれているのか…?
…よくわかんねぇ…とにかく、走る。
俺はイヤホンを装着して音楽を再生させて、颯爽と駆け出していった。