工業高校のイケメン達に愛されて【下】



「へへ、ありがとうっ」



坂口くんに笑顔を向けて、自分の首にピンクとグレーのチェック柄のマフラーをぐるぐると巻きつけた。


お母さんに買ってもらった大切なお気に入りのマフラーだ。



「緋奈。」


「うん!」



あたしを呼ぶ翔くんの低い声にもだいぶ慣れた。


最初の頃は呼び捨ても手を繋ぐことも陸くんたちにたくさん茶化されていたなあ。


そのたびに翔くんは顔を真っ赤にして慌てていた。


それでも、呼び捨ても手を繋ぐのも毎日必ずやってくれるから、嬉しい。


あたしは自分の指先で翔くんの指先にそっと触れた。


そうすると、翔くんが包み込むようにあたしの手を握ってくれる。


あったかいなあ。



「…じゃーな」


「みんな、また明日ね!」



翔くんに続いてあたしもみんなにさよならの挨拶をする。


手を振ったあたしに陸くんも坂口くんも、そして滝本くんも手を振りかえしてくれた。


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