工業高校のイケメン達に愛されて【下】
家の前まで送る!といって、あたしのあとに翔くんも改札をくぐり抜けた。
外は完全に陽が落ちて真っ暗で、気温も下がっている気がする。
帰りたくないけど、早く帰らないと翔くんが冷えちゃう。
「お前んち、こっちだろ。」
「うん!」
前に一度、家まで送ってもらったことがあったんだけど、覚えてくれてたんだなあ。
再び手を繋ぐと、翔くんの手はさっきより冷たくなっている気がした。
鼻先も赤くなっていて、寒そう。
この気温のせいだ。
…あたしがあっためてあげるもん。
そんな気持ちを込めて、ぎゅーっと力強く手を握った。
そしてふたりで、一歩目を歩み出すと同時に。
「あ、緋奈ーっ!?」
後ろから、大声であたしを呼ぶ声がした。
この声…。
あたしは、翔くんの手を握ったまま後ろを振り返る。
「りりかちゃんっ!!」
「やっぱり緋奈っ、すごい偶然!!」