工業高校のイケメン達に愛されて【下】
りりかちゃんは、あたしたちにぶんぶんと手を振りながらポニーテールを揺らして駆け出して行った。
あたしはりりかちゃんの姿が見えなくなるまで、手を振り続けた。
りりかちゃんの姿が見えなくなると、翔くんはあたしの肩をつかんで引き寄せた。
つかまれた肩に、翔くんの胸に触れた自分の頭に意識が集中する。
「わっ…翔くん?」
「緋奈、冷えてる。寒いだろ?」
「…うん。」
たしかに、ほんの少しりりかちゃんと話し込んだだけなのにさっきより寒いかも。
あたしはぐるぐる巻きのマフラーに顔を埋めた。
翔くんが手を差し出してくれて、あたしも手を伸ばすとどちらからともなく指を絡めてぎゅっと握る。
さっきは少し冷えてしまってたような気がしたけど…やっぱりあったかいや。
それに大きくて力強い翔くんの手は、落ち着く。
「…帰ろう。」
「うんっ!」
りりかちゃんが駆け出していった同じ道を、あたしたちもふたりで歩き出した。