工業高校のイケメン達に愛されて【下】
ドクン、と自分の心臓が脈打つのがわかった。
段差から足が落ちたせいだと思ったけど、それよりも…相葉くんに抱きとめられたからだと…思う。
「…ほんっとお前って危なっかしいな。ここは低い段差だからまだいいけど、怪我しかねないから気を付けろよ。」
そう思ったのも束の間、頭上から呆れを含んだ相葉くんの声が聞こえた。
あたしは体勢を持ち直して、相葉くんはあたしに回していた腕をそっと離した。
あたしってば本当まぬけだ…。
「ご、ごめん相葉くん…」
「お前が怪我してないならいい。」
「してない!ありがとう。」
「ん、じゃあ行こうぜ。」
「うん!」
あたしが靴を履き替えると、相葉くんは下駄箱の出口の方へ、足を向けた。
「…お前のことなら、俺はいくらでも助けるから…。」
背を向けてぼそっと言ったその言葉は、あたしには聞こえていなかった。