終わりにした夫婦
···まとまらない思い
休みをもらって
亜子は、一人でブラブラ・・
歩いていると
あっ・・・ここは・・
『売却済み』の札が。
そう言えば・・
正基・・家を売ったと
明日、私と子供達は
その件で、実家に呼ばれていた。
正基が、父にお願いしたらしい····が··
しばらく佇んでいた····ようだ····
色な思い出が·····
家を建てた時·····
子供達が生まれた時·····
次々に浮かんで·····くる······
あっ、
良く通った図書館にも行ってみよう
図書館に入り、
私が良く座っていた席に腰をおろす。
図書館の中を見回すと
図書館司書の方と目が会い
お互いに黙礼をする。
ただ、それだけなのに
温かい気持ちになり
本を手に取り、読み始める。
直ぐに没頭してしまい
気がつくと二時間程たっていた。
それから、図書館を出て
自分の部屋に一度戻り
二、三日分の荷物を鞄に詰めて
部屋を出た。
この時間なら···羽叶さんに
会うことは·····ないから·····
まだ、何も考えが定まっていない。
携帯もラインやメールの所は開かずに
会社に電話だけして電源を落とした。
社長は、何も聞かずに
「ゆっくりしなさい。」
と、言ってくれた。
心配をかけていることは
わかっていたが······
なにも聞かずにいてくれる
社長の優しさが嬉しかった。
だが・・・何日過ぎても
考えはまとまらないように思えた。
羽叶は、
何度も亜子に連絡をしていた·····
ライン······
メール······
電話も······
あまりにも、繋がらない事で
亜子に何かあったのではないか
と思い、遅い時間だったが
青山に連絡をした。
「省吾?羽叶だけど
亜子は、定時に帰ったかな?
今日は、GOEMONに出勤したはずなんだが
あっ、省吾は知ってるかな?
うん?省吾、省吾、訊いてる?」
「‥‥‥‥ああ。」
「えっ、なに、どうした?」
「‥‥お前さ、今日なにしてた?
亜子ちゃんと
約束してたんじゃないのか?」
「なにって?亜子と約束していたから
GOEMONに向かっていたら
瑛里子にあって・・
あいつに無理やり・・・
「どこで、あいつにあった?」
と、俺の話の途中で省吾から
「どこで?」
「はぁっ・・俺も葵も、
お前の幸せを願っていたが。
それ以上に亜子ちゃんに
幸せになって欲しいと
思っているんだ。
あの子は、純粋で真面目で
そして、優しくて
あの子と一緒に仕事して
みんな、あの子が大好きなんだ。
それなのに·····お前は·····
亜子ちゃんの前の旦那と
同じじゃないか?
つきあうまでは、大事にする
一緒にいるだけで幸せなんだって
あれは口からでまかせか?
亜子ちゃんは、今日俺達と
一緒に食事をした。
お前達の姿を見ていたからな
心配で····
それで、俺は亜子ちゃんに
お前達の過去を話した。
だがな、勝手に話した事を
俺は謝らないぞ。
今の状態だと
亜子ちゃんは·····
お前との結婚はしない·····と俺は思う。」
と、言うと電話を切られた。
俺は·····なに?······どうして?·····
瑛里子は、友達だ。
亜子に疑われることは何一つない。
ただ、亜子と約束していたのを
キャンセルして瑛里子を優先した···だけ··
それは·····
瑛里子が海外から帰国したから
俺は、亜子の前の旦那とは違う
亜子を愛している····し
大切に思っている·····
····優先····?
ゆう·····せん·····?····
·····なぜ·····?····
どうして·····亜子以外を·····
優先しない····と·····いけないんだ····?
だが·····もし······
亜子が、俺より前の旦那を優先したら?
俺は、知り合い····だから····な
と·····思える····だろうか·····?··
羽叶は·····
頭を抱えて座りこんでしまった。
亜子の部屋に行ってみたが反応はなく
あきらかに避けられている·····と
わかった。